カレンダーをめくりながら、前回はいつだっけと指を折る。
今週だけでもう4本折れた、と腰をさする人。先月から1本も折れていない人。40代の夫婦生活って、よその家はどうしているんだろう。
うちって多すぎ?それとも少なすぎ?
夜中に平均の数字を調べては、足音で画面を伏せる。身に覚え、ありません?(笑)
でも、回数に正解なんてありません。多すぎて腰がもたないのも、少なくてそわそわするのも、感覚のずれとは違う。今夜は断りたいと思うのも、わがままとは呼べないもの。
手がかりは、40代の10人と、その周りの夫婦たちの本音。週4回以上の家、とうにレスの家、一度止まって戻った家。
この先で、3本の糸を順にほどいていきます。
・回数の多い少ないにかかわらず、自分の感覚を信じていい根拠
・40代の夫婦生活で、頻度が揺れはじめる原因
・明日の晩から試したい、二人の距離の整え方
40代の夫婦生活に、ちょうどいい回数の正解はない
週に何回なら普通、という基準はどこにも存在しません。暮らしも体力も違えば、数字がばらけて当然です。
まず、49歳のひろみさんが知る家は、子どもの手が離れてから回数が戻った。月4回を楽しんでいるそう。かと思えば、月1回あるかないかで十分、そばにいられれば満ち足りるという家も。週1回を質として守る家に、ほぼないまま困っていない家。異性として見つづけるには欠かせない、と断言する家まで。
回数は、靴のサイズに似ています。他人の足に合わせた靴では、かかとがすりむけて当たり前でしょ?
ふたつ目に、多い側のしんどさも、少ない側の物足りなさも、同じだけ重い。多い悩みは、のろけ扱いで片づけられがち。少ない悩みは、魅力のなさを白状するようで口が重くなる。黙りこむほど、自分だけずれている気がしてくるんだよね。
誘う側が夫とは限らず、断る側が妻とも限りません。
みっつ目は、断りたい夜も、求めたくなる夜も、身勝手の証拠にはならないこと。今夜は眠りたい、と口にできる余地があってこそ、誘いも素直に受け取れる。断っても、翌朝に不機嫌や無視という罰が待っていない。この約束こそ、どんな回数の家にも要る土台です。
40代で夫婦生活の頻度が変わるのはなぜ?考えられる原因
頻度が揺れる裏では、疲れや暮らし、体の変化が束になっています。原因を知るのは誰かを責めるためではなく、うちだけじゃないと肩の荷を下ろすため。
疲れと子ども、すれ違いで、二人きりになれない
寝かしつけのはずが、子どもより先に寝落ちしていた(泣)
そんな夜、何度目ですか?
48歳のゆかりさんの家には、子どもが4人。性欲はだんだん落ち、疲れと眠気にはかなわない。
(これって、まだ要るのかな)
要るかどうか以前に、時間が物理的にない。高1と小3と小1が同じ屋根の下にいれば、二人の夜はすき間を縫うようなもの。
帰宅が日付をまたぎ、休日は別行動というすれ違いの家なら、なおさらですね。二人で座る練習がないと、子どもが眠っても家族の延長のまま。恋人の目で相手を眺めるスイッチは、なかなか入りません。
20代のものさしで、今の夜を測っている
昔はもっと、と若いころの二人と比べてしまう夜は?
41歳のなおみさんは、声をひそめてたずねた一人。40代同士でも、やり方は変わるのか、と。20代の熱を基準にすれば、今の夜はどれも物足りない。
放っておくと、体より先に寝室へ居座るのが、役目はもう終わったという空気。そこでは誘う側がはしたなく見え、誘いは減っていく。同じ布団で、片方は胸をなでおろし、片方は背中を丸めて…。
逆に、回数だけが20代のまま据え置きの家も。学生時代の持久走のタイムを、今の体に課すような無茶です。
誰も本音を言わない空気が、レスを標準に見せる
よその夫婦の夜、本当のところを知っていますか?
46歳のかずおさんは、30代後半から50代で夜が続く夫婦をほとんど知らない。長年連れ添ってまだあるほうが、冷やかしの的になる空気さえある。していても口に出さない家が、実はあるのかも。誰も言わない場所では、ないことが標準の顔をしはじめる。
かずおさん本人も、子どものいない家でレスのまま。理屈で気は楽になっても、玄関を開けた瞬間の空気は動かない。
食卓とお金の空気が、夜の距離に響く
お金でもめた週、夜の距離まで開かなかった?
44歳のまことさんには、昔の上司に言われた言葉がある。夫婦円満の柱は、飯と金と夜の営みの3本だ、と。
(何言ってるんだ、この人)
当時はぴんとこなかったのに、40代に入って意外と腑に落ちた。食事が雑になり、お金の話がとげとげしくなり、夜が消える。三本脚の椅子と同じで、1本欠ければ残る2本に重さが寄る。ぐらつきを性格の問題にすり替えると、修理は遅れるばかり。
まことさんの家は3本とも平凡。それでも、欠けていないことを今は手柄だと思っている。そう呼ぶのが、ちょっと気恥ずかしい年ごろでもある(笑)
更年期や体の不安が、先送りの理由をそろえる
疲れたのひと言で、布団をかぶった夜は?
先延ばしの理由は、いつも立派です。疲れ、子ども、仕事、体調。更年期に差しかかった体の揺らぎに、男性なら勃起への不安。いまさら照れる気持ちも。
更年期が近づけば、ホルモンの変化で潤いが減り、痛みにつながる場合も。勃起の不調も、年齢や疲れ、ストレスで起こりやすい。結局どれも本物だから、誰も責められないまま先送りが積もる。
【体験談】多すぎる夜も消えた夜も。5人がたどった行きつ戻りつ
夜を取り戻した二人もいれば、出口を探している最中の人もいます。
多すぎる夜を、幸せだと上書きしてきたえみさん
43歳のえみさんは、同年代の夫と連れ添って23年。仲はごくふつう。悩みは回数の多さです。結婚以来ほぼずっと、週に最低でも4回。
(正直、マジで体力がもたない…)
20代のころと段取りは違うのか、同年代の家ではどうなのか。確かめたくても、はしたない話だと言葉を濁してきたぶん、相談相手がいない。
多い側の孤独は、少ない側より笑いの種にされやすい。だから心底きつい夜も、気持ちを上書きする。
(求められてるうちは、幸せなほうなんだから)
上書きの付箋は、3日ほどで端から浮いてくる。4日目の朝、腰に重さがずしりと居残る。
えみさんは今も、その繰り返しの途中。同年代の本音を聞いてみたい気持ちだけが、胸に残ったままです。
急がない触れ合いを重ね、40代で夜が戻ったしゅんさんとみきさん
42歳のしゅんさんと45歳のみきさん夫婦は、妊活と産後を境にレスに。夫が応じなくなり、何気ない接触まで消えていった。寄り添おうとしては断られ、また距離があく日々。
ふだんは仲よく暮らせていた。だからこそ、仲むつまじい夫婦が目に入るたび、胸の奥がきゅっと縮む。
(うちはもう、あの頃には戻れない)
ところが40代を迎えて、夜は戻ってきます。振り返れば、何をしても裏目に出たあの時期は、自分の構え方がよくなかった。潮目を変えたのは、目の前のレスより、この先の暮らしそのものを考え直したこと。
最初に選んだのは、触れること。それも、夜の行為にはつなげない期間を、わざと長めにとった。コンクリートが固まるまで、上に柱を立てないのと同じ。寝かせた時間が、再開を支える基礎になりました。
話すことのない外食で、顔を見合わせて笑ったたけしさん
47歳のたけしさんは、子どもを実家に預けて妻と外食へ。メニューを開いたとたん、はたと気づく。話すことが、ない。
(……あれ、何を話せばいいんだっけ)
子どもの話を振りかけて、のみこむ。仕事の愚痴も、口まで出かかってやめた。久しぶりだな、と言えば、だね、と返ってくるだけ。
妻がスマホに目を落とし、たけしさんも画面をのぞく。すると妻が、「私たちダメだね」と笑った。つられて、彼も笑い出す。
(まさか、全然気まずくないなんて)
20年も一緒にいると、沈黙さえ会話のうちに入る。そう気づかされた夜。営みの手前にある、隣に座っていられる練習の話です。
夜中にひとり、理由を数え直すりえさん
40歳のりえさんの結婚生活は17年。夜はもう途絶えています。夫の帰りは毎晩、日付が変わってから。休日は一人でゴルフへ。一緒に過ごす時間はほぼなく、会話もない。おかえりのひと言すら交わさない日もある。
外から見れば、ごく普通の家。けれど中身は、役割の分担だけがやけにうまい。バトンの受け渡しは完ぺきなのに、並んで走る区間がひとつもないリレーのよう。分担が上手な家ほど、触れない理由がもっともらしく見えてくる。
(理由を並べたら、きりがない…)
夜更けに、その理由を指折り確かめる。りえさんの夜は、今もその途中です。
回数に振り回されないために、明日からできること
目指すのは平均に寄せることより、今の二人に合う形を探し直すこと。多い家は減らす相談から、少ない家は触れる入り口から。
よその数字より、いまの体の声を認める
正直言って、よその数字ほど当てにならないものはない。ひろみさんの話が示すとおり、頻度の話はすぐ価値観の争いに化ける。そこで相手やよその家の数字を正解にすると、負けるのは自分の体。負けた体には、義務でこなすか拒むかの二択しか残りません。
物差しを今の二人に置き直せば、触れるだけで会話になる家もある。多すぎてしんどい自分も、もっと触れたい自分も、居場所をあげていい!
回数を責め合わずに、距離を整える小さな工夫
多すぎて体がもたないときは、嫌かどうかより、回数と形の相談として切り出してみる。ひと月にどのくらいなら無理がないか、疲れた日は寄り添って眠るだけにできないか。えみさんのように上書きを重ねるより、口に出すほうが先。断られた側も、次の日まで仏頂面を引きずらないこと。
長く途絶えて何から始めればいいか迷うときは、夜に直結しない触れ方から。手を重ねる、肩をもむ。その先へ進まない期間を、しゅんさんとみきさんがしたように長めにとってみる。
話が続かないときは、黙って並んで座るだけの時間を持ってみて。話題が尽きたことを笑えたら、たけしさん夫婦のように上出来!
20代と同じ段取りに体がついていけない夜は、形へのこだわりを手放してみる。抱き合ったまま朝を迎えるのも、ホテルや旅先に場所を移すのも手。手順を更新できた家は、少ない回数でも続いていることが多いといいます。
疲れきった日は、薄いつながりだけ残してみる。子ども部屋が静かになってからの3分の立ち話、食器を下げたあとに合う視線。寝室の豆電球くらいの明かりでも、相手の居場所はわかるから。
気にしやすい性分の、使い道
気にしすぎる性分も、光の当て方しだいで頼れる相棒に。
| 短所に見えるところ | 裏返すと | 活かせる場面 |
|---|---|---|
| よその家の回数がつい気になる | 二人の関係を放っておけない | 話し合いを切り出すきっかけにできる |
| 求められると断れない | 相手の気持ちを大事にできる | 嫌ではない形を自分から提案できる |
| 若いころを思い出して落ちこむ | 二人の歴史をよく覚えている | 今の体に合うやり方を探し直せる |
| 自分から誘うのに腰が引ける | 相手を急かさない慎重さがある | 手を握る一歩から動ける |
40代の夫婦生活でよくある質問
Q.40代夫婦の夜の回数に、平均や目安はありますか?
目安と呼べる数字は、ありません。友人同士で話すと、ほぼ全員の家がレスだったと笑い合う人もいます。いちばん多い家でも2、3か月に1回。それでも家に帰れば、問われるのは平均ではなく、今夜ふれるかどうかだけです。
Q.多すぎてつらいとき、断ったらわがまま?
わがままではなく、体からの正直な返事です。その日の調子で、答えが変わっていい。嫌だ、で終わらせず、理由と代わりの案を添えてみて。今日は寝かせて、日曜の朝ならどう、くらいの軽さで十分です。
Q.何年もレスでも、40代から再開できますか?
再開できた家は、ちゃんとあります。しゅんさんとみきさんの夜も、40代で息を吹き返しました。子育てが一段落してから、ふたたび増えた家も。急がず、肌を寄せるところから積み直すのが近道かも。
まとめ
40代の夫婦生活は、よそと比べた瞬間から息苦しくなるもの。数字の正解は、どの家の外にも落ちていません。
・回数が多くて音をあげたくなる感覚も、足りない感覚も、どちらも正当なもの ・疲れや子どもの気配、すれ違い、昔の基準、体の変化が重なって頻度は揺れる ・触れ合うだけの時間、隣に腰かける時間、形にこだわらない夜から整え直せる ・断っても咎められない関係を土台に、長引くつらさは医療や相談の場へ
折った指の本数より、今夜重ねる手のひら一枚のほうが、二人の答えに近い。

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