ソファで並んで動画を観ていても、二人のあいだにはクッション一個ぶんのすき間。もたれかかるきっかけを探すうちに、エンドロールが流れはじめる。
彼氏とのスキンシップがなくて寂しい…。でも言えば重い彼女だと思われそうで、言葉を麦茶ごと飲みこんでしまう。
手をつなぎたい、ただそれだけなのに…
おねだりした日の、彼のうんざりした目つき。あれ以来、黙るほうを選んでいる人もいるでしょう。
抱きしめてほしいと願うのは、ちっとも重くない!寂しさを感じる自分を、責める必要もないんです。
手がかりにするのは、11人をはじめ、似た夜を過ごしてきた人たちの話。ここから一緒にたどるのは、次の3つ。
・ふれあいを望む自分を、恥じる必要がないわけ
・彼が触れようとしない本当の理由と、寂しさが育つ仕組み
・彼を追いつめずに、肌の距離を縮めていく工夫
彼氏とのスキンシップがなくて寂しい気持ちを、責めなくていい理由
くっついていたいと願う気持ちは、重さともわがままとも無縁。恋人に触れたくなるのは、自然な心の動きです。
まず、ほしがっているもの自体がとても控えめ。22歳のみくさんが望むのも、体の関係ではなく、ここにいていいと思える接触です。肌のふれあいで、安心にかかわるオキシトシンが出ることもよく知られています。
二つ目は、隣にいて触れられない寂しさのほうが、会えない寂しさより堪えること。会えない夜なら、次のデートを思い描いてやり過ごせる。ところが手の届く距離だと、現実が逃げ道をふさいでしまう。一緒にいるのに寂しいなんて、ぜいたく?いいえ、近いぶん、すき間がくっきり見えるだけ。
三つ目は、触れたい量が意外なほど人それぞれなこと。あなたが求めすぎなのでも、彼が冷たいと決まったのでもない。心地いい距離の目盛りが、はじめからずれているだけでしょう。
26歳のあかりさんは、手もつながない彼にいらだつ自分を、もてあまし気味です。
(普通にうざい…)
そんな言葉が浮かぶたび、自分まで嫌いになる。でも、そのとげとげも元をたどれば寂しさの変装。怒りが顔を出しても、心が狭いせいじゃありませんよ。
彼氏がスキンシップをしない心理と、寂しいと感じやすくなる原因
彼がふれあいに消極的な理由は、ひとつに絞れないもの。照れ、優先順位、疲れ、言葉の受けとり方。そこへ、あなたの側の事情も重なります。原因を探るのは彼を裁くためではなく、自分だけのせいじゃないと知るため。
照れ屋で、空気が温まるまで動けない
彼から手を伸ばすのは、お酒が入った夜や記念日くらい。そんな偏りに覚えは?
21歳のももさんの彼は、雰囲気の波に乗れたときしか自分からハグしてこない照れ屋。ももさんが先に抱きつくと、一度固まってから遅れて腕が回ってくる。その数秒が、毎回やけに長いのだとか。
点火から部屋が暖まるまで時間のかかる、石油ストーブのような人もいるもの。嫌なのではなく、助走が足りないだけかも。
優先順位が低い人と、玄関でスイッチが入る人
付き合って長いのに、外で手をつないだのはいつが最後?
29歳のさなさんは、交際2年。それでも彼は、外ではいまだに手を取ってくれません。歩くのが速く、距離が開くと立ち止まって待ってはくれる。やさしさはあるのに、指先だけがこちらへ来ない。
外では手すら握らないのに、部屋に入ったとたん体をすり寄せてくる彼もいます。けれど、さなさんの彼は家の中でもそれほど変わりません。もともと触れ合いの優先度が低い人と、場所で切り替わる人。どちらの型なのか、はた目には判別できません。
仕事で心も体もすり減っている
触れ合いが消えた時期と、彼の繁忙期。ぴったり重なっていませんか?
30歳のれなさんの場合、忙しい時期に入ってからスキンシップが消えました。手つなぎもキスも減り、近くにいても寄り添ってこない。わけをたずねると、仕事が多くて体も心も疲れてる、との答えでした。
仕事に追われて余力をなくす男性は多く、いわば絞りきった歯みがき粉のチューブ。事情をわかろうとしても、れなさんの寂しさは部屋の隅に居座ったまま。
スキンシップという言葉の中身が、二人で違う
ハグがほしいのに、彼の頭には夜のことばかり。
家事の最中に性的な触り方をされて、喜ぶどころか嫌になった人がいます。拒むと、女として見られてるんだから喜べ、と不機嫌に。望んだのはハグまでなのに、彼の厨房では別の料理が仕上がっていたわけです。
嫌な触れ方は、断っていい。同意のない接触を、我慢で受け流す必要なんてない。
27歳のゆうなさんは逆に、体の関係を望むのは自分だけだと感じています。満たされないまま隣にいることに、慣れてしまいそうで。
(慣れたら、次は何を諦めるんだろう)
ほしいのは体というより、ただ近くに来てくれること。求めるものの種類が、彼とずれているのかもしれません。
渋い顔を見て口をつぐみ、空白を悪く訳してしまう
頼んだときの、彼の渋い表情。はぁ…あれを見た日の帰り道って、やけに長い(泣)
23歳のひなたさんの彼は、夜の関係には応じるのに、ふだんのイチャイチャがない。手をつないでと頼めば、その場ではつないでくれる。でも次のデートでは、また自分からは来ない。何度か頼んだころ、彼が面倒くさそうな顔をした。それきり、彼女はお願いするのをやめています。
口を閉じても、寂しさは消えずに沈黙を拒絶と読みかえはじめます。まさか、私に魅力がないせい?音のない映画に、自分で最悪の字幕をつけるようなものです。その字幕は、たいてい誤訳。なのに体は真に受けて、次に彼が近づいてきても素直に受けとれなくなる。
【体験談】ふれあいの少ない恋に揺れた4人が、いま思うこと
時間が味方した人、言葉で流れが動いた人、そして今も途中にいる人。
半年たって、彼の側から距離が縮んだそよさん
25歳のそよさんの彼は、交際のはじめにこう謝りました。スキンシップはあまりしないタイプだから、寂しい思いをさせるかも、と。
はじめは、顔を近づけても彼がそこで止まってしまう距離感。
(そういう人なんだ)
風向きが変わったのは、半年ほどたったころ。顔を寄せるだけで、今度は彼のほうが待っているようになったんです!今では軽く触れると、彼からキスしてくることも。
最初に期待を下げていたぶん、変化が大きく響いたそう。誰もがこうとは限らないけれど、時間でほどける人も確かにいます。
寂しいと打ち明けたら、彼も同じだったかほさん
勇気をふりしぼって切り出したのは、25歳のかほさん。最近スキンシップが取れてなくて寂しい、と。
彼は少し考えてから、自分も寂しいよと返してきます。今度はぎゅうってハグしよう、とも。
(寂しいの、私だけじゃなかった…)
その返事で、かほさんの心は少し軽くなりました。次に会ったとき本当に抱きしめてくれるかは、まだわからない。それでも、伝わっていないという孤独は薄れたんです。
想像で穴埋めしていると、気づいていないだけの彼まで悪役にしてしまいがち。
期待した夜に、何も起きなかったちひろさん
24歳のちひろさんが忘れられないのは、彼がスマホをいじっていた寝る前のこと。寒いねと言いながら、彼の足に自分の足を絡めます。ほしかったのは、付き合いたての、言葉より先に始まるあの空気。
スマホを置いて、待つ。彼の指は、画面の上を動き続けたまま。結局、そのまま夜は過ぎていきました。
(期待して、何も始まらない…あれはもう味わいたくない)
あの空気は、一度手放したら最後、戻ってこないのでは。手を伸ばせば届く場所に彼がいるのに、ちひろさんだけが寒い。
何度伝えても、回数が増えないなぎささん
28歳のなぎささんは、もともとレス気味の関係でした。だからせめて、日常のふれあいはほしい。行動でも示してくれないと寂しいし不安だと、何度も伝えてきました。
彼の返事は、いつも、わかった。けれど、手が伸びてくる回数は増えないまま。
好かれている実感があるから、よけいに苦しい。好きなら触れるはず、という思いが現実とぶつかる。
(レスなんだから、それくらいしてよ)
なぎささんの中で、性的なことと、ただ寄り添うことは別物。彼の辞書では、二つが一つの見出し語にまとめられているとも考えられます。
変わらない日が重なるほど、言葉は洗いざらしのタオルのように薄くなる。答えは、まだ出ていません。
これからどうする?寂しさを抱えたまま、ぬくもりに近づく方法
彼の性質を丸ごと塗りかえなくても大丈夫。肌恋しい自分を置き去りにせず、二人の距離の縮め方を少しずつ変えていけばいい。
触れてほしい気持ちに、はっきり名前をつける
正直言って、黙って待つほうが楽な日もあります。でも我慢は、いくら貯めても利息のつかない貯金。言葉をのみこむほど、彼は問題ないと受けとり、溝だけが音もなく深くなっていく。
だからこそ、早めに触れ合いがほしいと名前をつけておく。宛名のない荷物は、どこにも届きませんよね。何が足りないかが見えれば、彼にも手のつけどころがわかります。
明日の夜から試せる、関係をほぐす工夫
気持ちを伝えるときは、本音、提案、相手の自由の順に並べてみて。寂しいは本音として、抱きしめたいは提案として。応じるかは彼しだいです。
「寝る前に、少しだけ抱きしめ合いたいな」
そのあとで、今はどんな触れ方なら心地いい?とたずねる。この順番だと、相手が守りに入りにくいようです。
逆に、こんな責め方は火に油。
「男として見てないの?好きなら普通したくなるよね?」
自分が安心するための道具として、彼の体を差し出させることになりかねません。
言葉が出にくいときは、自分から触れて反応を見るのも手。膝に乗ったり添い寝したりと大胆に振ってみたら、彼がまんざらでもなかった例も。反対に、触れたとたんベタベタするなと身を引かれた人もいます。同じ動きでも、受けとる側の配線しだいで結果は正反対。
いきなり膝の上なんて、ハードル高すぎ?(笑)様子を見たいときは、手の甲をそっと重ねるくらいから始めてみて。彼の体がゆるむなら少しずつ範囲を広げ、固まるなら量を減らして回数を分ける。
彼が仕事でへとへとの時期は、求める量をいったん小さくしてみましょう。眠る前に、背中をほんの数秒くっつけるだけでもいい。事情はわかったうえで、私は少し寂しい、とだけ伝えておけばいいんです。
寂しさを別のもので埋めたくなったときは、それが代わりになるか確かめてみる。ひなたさんも、ゲームで気をまぎらわせる夜が増えました。
(彼もゲーム好きだし、同じことをしてれば近づけるかも)
けれど、触れ合いの穴は埋まらなかった。好かれていても、肌が触れないと落ち着かないのが彼女の本音。
寂しがりな一面を、二人の強みに変える
| 短所に見えるところ | 裏返すと | 活かせる場面 |
|---|---|---|
| 少し触れないだけで心細くなる | 関係の変化に早く気づける | こじれる前に話し合うとき |
| 自分からくっつきたくなる | 気持ちを体で素直に表せる | 照れ屋の彼の背中を押すとき |
| 寂しくても我慢をため込む | 相手の事情を思いやれる | 疲れた彼との距離を測るとき |
| 彼の反応ひとつで揺れる | 小さなサインを見逃さない | 彼の心地いい触れ方を探るとき |
寂しがりな性質は、関係の冷え込みをいち早く知らせる温度計のようなもの。壊れているのではなく、感度が高いだけです。
心や体が限界を知らせてきたら
布団に入っても目がさえる。箸が進まず、食べる量が落ちた。仕事中のミスが増えてきた。私が悪いんだ、という声が頭の中で鳴りやまない。
こうしたサインが続くなら、誰かの手を借りる頃合いです。気持ちの整理にはカウンセリング、心身の不調には心療内科。自治体などの公的な相談窓口も頼れます。落ちこみが長引くなら、うつ状態の可能性も。
見下す、無視する、拒むと不機嫌で返す。そんな支配の気配を感じるときは、DVを扱う公的な窓口にも相談を。
彼氏がくっついてこなくて寂しい…スキンシップのQ&A
Q.触れてこないのは、気持ちが冷めた証拠?
スキンシップの少なさだけで、心が離れたとは言い切れません。本当に冷めたときは、触れ合いより先に会話の熱や会いたがる回数に出やすいもの。話しかけたときの反応や、会う約束の入り方にも目を配ってみて。
Q.言っても変わらない彼には、どうすればいい?
一度、ふれあいを避ける理由そのものを彼にたずねてみてください。変わった人の多くは、触れたくないのではなく、やり方や気分、疲れの問題でした。特に理由はない、と返される怖さもあるでしょう。頭の中だけで恋を終わらせるより、口に出したほうが傷は浅く済むことも。
Q.スキンシップがないだけで別れを考えるのは、おかしい?
少しもおかしくありません。ふれあいが消えると、相手への気持ちさえ輪郭がぼやけてしまう人もいます。恋人という肩書きだけが残り、あなたと彼として向き合う時間が消えていくからです。
まとめ
彼氏とのスキンシップが途切れて寂しい夜は、自分の感覚を疑いたくなるもの。
・ぬくもりを求める気持ちは、恥じるものではない
・彼の側には、照れや疲れ、そもそもの優先順位、言葉の中身のずれがある
・寂しさは、ふれあいの空白を自分の価値と結びつけたときにふくらむ
・本音と提案を分けて伝え、望まない接触には首を横に振っていい
手の届く場所にいる人へ、手を伸ばしたいと願うこと。その願いを、ひとりで冷ましてしまわなくていい。

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