セックスレスで浮気は仕方ない?本音と踏みとどまる方法

書類を手渡すとき、同僚の指先が手の甲にふれた。ほんの一瞬なのに、湯船につかってもまだ、そこだけ熱い。セックスレスが長引くと、浮気も仕方ないかも、と思えてくる夜がありますよね。

手がふれただけで脈が跳ねるとか、マジで重症

家では、手をつないだ日さえ思い出せないのに。

逆に、拒むなら浮気されても仕方ない、と突きつけられて胸がつかえる人。パートナーに、レスのせいだと打ち明けられた人も、きっといる。

触れ合えない寂しさで外へ心が揺れる自分を、咎めなくていい。断ってきた事実だけで、裏切られて当然の人になるわけでもない。

ただ、認められるのは気持ちのほう。仕方ないの一言は、あとで動く自分に、免罪符を先渡ししてしまうから。

レスをめぐる10人の話では、同じ一言が、人によって正反対の顔を見せていました。

口にする前に、見ておきたい3つのこと。

・揺れる自分も断ってきた自分も、罰する必要がない根拠

・仕方ないに傾く原因と、その言葉の危うさ

・踏みとどまりつつ、寂しさを手当てする工夫

目次

セックスレスで浮気を考えるのは仕方ない?揺れる気持ちが罪にならない3つの根拠

頭に浮かぶだけなら、責める必要のない心の動きです。とはいえ、仕方ないで通せるのは心の中だけ。行動となると、話はまるで別。

ひとつ目は、揺れの底に、欲より深い渇きが沈んでいること。いちばん触れてほしい人に、何年も背を向けられる。自分の価値まで削られる気がして、心が逃げ場を探しはじめるのも無理はない。

32歳のゆりさんは、レスを理由にした不倫を言い訳だと考える人。そんな彼女が心を動かされたのは、妻としたいと話して責められた男性の話でした。欲を吐き出すだけなら、相手は誰でもいいはず。なのに彼は、妻を選んでいる。求めているのは、この人なんです。

次に、思い描くことと踏み出すことの間は、意外と遠い。想像だけで止めている人は、口に出さないだけで多いもの。

そして最後。断ってきた側も、それだけで裏切りに値する人にはならない。35歳のりえさんは、断る側の胸の内をこう明かします。

私が拒んでるのに外もだめなら、されても仕方ないのかも

けれど断る背景には、出産後の体の変化や痛み、親の役目に追われる疲れが潜む場合も。その重さを省いた理屈で、自分を裁かないで。夫婦でも、断る自由はなくなりません!

肯定できるのは、ここまでの気持ちの話。浮気や不倫、店やアプリで実際に関係を持つことまで、仕方ないで包みこめはしません。結局、そこで縮まるのは今夜の渇きだけ。夫婦のあいだの話は、一行も進まないまま。

セックスレスだから浮気は仕方ない、に傾くのはなぜ?5つの原因

仕方ない、に心が寄るのは、相手の言葉や家の空気が、じわじわ足場を固めるから。しかもこの言葉は、まだ起きていない行動に、前もって許可を出してしまう。悪者探しでなく、自分ひとりに背負わせないための整理です。

外でしていい、という許可が家の修理を止める

私じゃ無理だから、外で発散してきて。そう言われた、あるいは言いかけた覚えは?

差し出された許可は、思いやりの顔をしています。中身は、家で向き合う役目を外へ手放す取り決め。壊れた給湯器を直すかわりに、銭湯代を渡されるようなもの。湯には浸かれても、家の浴室は冷えたままです。体験談のこうじさんが渡されたのも、この許可でした。

しかも先に仕方ないと告げられた人の耳には、見放された合図として届きがち。優しい声で読み上げられる、戦力外通告のように。

家で満たされず外も閉ざされ、逃げ道が一本に見える

家では渇いたまま、外へ目をやることも封じられる。この板ばさみで、喉が詰まる夜は?

拒む権利と独り占めする権利を、同じ人が握っている。握られた側には、仕方ないが、ただ一つの抜け道に映ります。水をもらえないのに、植え替えも許されない鉢植えのように。

37歳のあやさんは、満足できた夜を一度も知らないまま。何度具体的に伝えても、改善の兆しはなし。

拒否するなら外で遊ばれても仕方ない。そんな声を耳にしても、外に求めようとは思わない。夫も子どもも愛しているから。レスなら浮気を許せ、という理屈は理不尽だ、と。

抜け道に見えることと、歩き出すことは別です。

仕方ないの主語が、拒む側へ入れ替わる

拒まれるのは、そっちにも原因があるから。そう投げ返された夜は?

41歳のさとしさんは、レスの苦しさを認める人。ただ、浮気やモラハラ、家事も育児もしない相手なら、拒まれても仕方ない、と。ここで主語が裏返り、拒む側の盾に変わる。

正直言って、当てはまる家もあるでしょう。けれど、優しいのに触れてもらえない家に、同じ物差しを当てたら?拒まれる側が、まるごと悪者です。

仕方ない、はシーソーの板。どちらが腰を下ろすかで、傾く向きが変わる。相手を丸ごと裁く理屈は、言った側の胸をすかせても、次の断りを硬くするだけ。

レスが先とは限らない、時系列のねじれ

レスだったから仕方なかった。まさかの一言に、口だけがぱくぱく動いた経験は?

44歳のまことさんは、あとから順番を整理した人。レスだから浮気する、と思われがちだけど、実際は逆が多かった。外で先に満ち足りたから、家で触れなくなる、と。

風呂上がりに、香水のような匂いがした気がする。それだけで頭が埋めつくされる夜も。

(気のせいであってくれ…)

疑いが芽生えた時点で、仕方ないはもう使えない。黙ってやり過ごすと、あとからレスを言い分にして、順番を塗り替えがちです。

合理的という顔で、許しを前借りする

性格に不満はない。欠けているのは夜のことだけ。そう計算したことは?

40歳のまなさんは、離婚を考えていない。

(性格は理想に近い。できないこと以外は)

だから外で済ませるのが合理的だ、と考えた。冷たい計算の下には、家を壊すまいとする気持ちも隠れています。

計算の落とし穴は、気持ちと体の置き場所が、知られるまでしか両立しないこと。その期間を仕方ないと呼ぶのは、発覚後の自分を先に許すことです。いわば、許しの前借り。前借りした人ほど謝り方が薄く、その薄さはレスの空白より深く相手に残ります。

【体験談】仕方ないを口にした人、飲みこんだ人。4人の揺れた年月

4人の行き先は、てんでばらばら。

よそで済ませていいと言われ、許可つきの孤独を抱えたこうじさん

妻に望みを伝えた、36歳のこうじさん。私には叶えられないから、外でしてきていい。それが妻の返事でした。不倫でも、お店でもかまわない、と。

本気になったら、どうするの?

妻の答えは、仕方ないから離婚する、親権は私がもらう、でした。

(自分勝手にも、ほどがあるだろ…)

許しを得たうえでの孤独は、ふつうの寂しさより人に説明しづらい。

そのもやもやを、外の誰かに打ち明けた夜。思わずこぼれたのは、仕方なかった、の一言でした。妻の理屈を、いつの間にか自分も借りていたんです。この先をどう選ぶのか、こうじさんはまだ途中にいます。

外でどうぞと言われなかったから、隣にいられるみほさん

34歳のみほさんは、夫と何度も話し合ってきました。夫は以前、拒否ばかりなら浮気されても仕方ない、と話していた人。その言葉を持ち出して、みほさんはたずねます。

「じゃあ、私がほかの人としても、もういいの?」

夫の答えは、違う、そんなふうには思っていない。

あのとき外へ行けばと言われていたら、夫婦を続けられなかったと思う。みほさんは、今そう振り返ります。夫の否定が、信頼の底抜けを防いだのかも。

浮気せずに過ぎた年月を、無駄だったかと問い直すなつみさん

48歳のなつみさんの家は、年に0回から2回。そのあいだ、浮気もせずに過ごしてきました。

(あの年月、無駄だったのかな…)

さっさと別れていれば、今ごろ子どもを産めていたかもしれない。考えても仕方ないのに、頭が勝手にそっちへ向かう。耐えた時間に対してと、考えること自体に対して。仕方ないが、彼女の中で二重に鳴っています。

それでもなつみさんは、その年月を自分の選択として引き受けている。引き受けた顔の裏で、別れていた場合の人生を組み立て直しながら。今も途中です。

踏み出しかけては引き返し、25年がたったしんさん

59歳のしんさんは、肌の寂しさを骨身にしみて知る人。外へ足が向きかけたことは、何度か。そのたびに手前で止まり、気づけば25年です。

(温もりがほしい。誰かと一緒に満たされたい)

願うことと実行することの間を、しんさんは25年かけて歩いてきました。意志の強さと受け取る人もいれば、臆病さと見る人も。どちらの呼び名を選んでも、温もりへの渇きは今も消えていない。

仕方ないで片づけないために、今夜から選べること

欲しいのは、寂しさを消す方法より、仕方ないを使う場所を選び直す目。

仕方ない、は気持ちのためだけに使う

寂しくなるのは仕方ない。外に目がいく夜があるのも、しょうがない。そこまでは、自分にかけていい言葉です。

でも、よその誰かと一線を越えるのは仕方ない、とだけは言わないでおく。気持ちに添える仕方ないは、心を休ませる。行動の前に置く仕方ないは、やる前から言い訳を用意してしまう。同じ4文字なのに、働きは正反対なんですよね。

今夜、家で求めるか、求めないか。外へ出るか、出ないか。どれを選んでも、選ばなかったほうは翌朝まで胸に残ります。その重さを朝の自分が抱えられるか、口に出す前に想像してみて。

仕方ない、に傾きかけた夜の小さな工夫

外に行くのも仕方ない、と思えてきたときは、欲しいものを指差し確認してみる。温もりか、会話か、体か、認められたい気持ちか。指差してみたら、足りなかったのは体より、目を見て返事をもらうことだった。そんな拍子抜けもあるかも(笑)

パートナーの説明がのみこめないときは、時系列を紙に並べてみる。触れ合いが減った時期と、帰宅時間が変わった時期。まことさんのように順番を確かめれば、レスのせい、という説明を丸のみせずにすむ。

外でどうぞ、が口から出そうな夜は、その一言をいったん飲みこむ。反対に言われたときは、見切りの宣告と決めつけず、もう一度話す場を求めてみる。

もう話し尽くしたと感じたときは、中身を点検してみる。責める言葉から入っていなかったか。疲れきった夜に切り出していないか。二人だと同じ場所で止まるなら、第三者に同席してもらう場を。

話を始めた瞬間、相手がテレビの音量を上げる…なんて家もあるはず(泣)

断る側として罪悪感が重いときは、断りに代わりの一言を添えてみる。今日はしんどい、でも手はつなぎたい。それだけでも、裏切られても仕方ない、という思いこみが少しゆるむことも。

寂しがる力は、裏返すと関係を守る力

弱みと決めつけてきた部分にも、別の顔があります。

短所に見えるところ裏返すと活かせる場面
寂しさを人一倍感じやすいつながりを大切にできる渇ききる前に、相手へ言葉で届けられる
外へ揺れた自分を責めてしまう誠実でいたい気持ちが強い揺れても戻る理由を、はっきり持てる
断るたびに罪悪感を抱えこむ相手の痛みを想像できる断る理由に、代わりの触れ合いを添えられる
仕方ないと割り切るのが早い現実を見すえる力がある気持ちと行動を分けて、選択肢を並べられる

限界の手前で、頼っていい場所

寂しさや怒りで、空が白むまで眠れない。何を食べても砂をかむよう。外へ向かう気持ちを、自分では抑えきれそうもない。どれかが自分の姿に重なったら、一人で踏んばるのは終わりにしていい!

カウンセリングは、言えずにきた本音の置き場。不眠や気分の沈みが長引けば、心療内科へ。二人で向き合い直す場として、夫婦カウンセリングやセックスセラピーも。別れや慰謝料まで見えてきたら、弁護士か自治体の法律相談が窓口です。

よそへ踏み出しそうな自分にブレーキが利かないなら、行動より先に専門家へ。

セックスレスで浮気は仕方ない?よくある質問

Q.レスが理由なら、浮気しても責任は問われない?

責任が消えるとは限りません。法律上の不貞行為は、離婚や慰謝料を求められる根拠になりうるもの。レスの事情がどう扱われるかは、経緯しだい。迷ったら、動く前に弁護士へ。

Q.セックスレスそのものは、離婚の理由になる?

場合によっては、なりえます。長く続くレスは、結婚生活を続けがたい事情として、考慮の対象に入ることも。ただ、期間や理由、話し合いの経緯で判断は分かれるもの。

Q.レスだったから仕方なかった、と言われたら受け入れるしかない?

受け入れる義務は、どこにもありません。その説明が、出来事の前後をすり替えていることもあるから。まずは時系列を確かめ、傷ついた気持ちは傷として扱っていい。

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この記事を書いた人

パートナーに打ち明けられない嗜好、十年続いたセックスレス、自分でも名前のつけられない欲望。
ひとつひとつのケースは特殊に見えて、その奥にあるのは「知られたい」と「嫌われたくない」のあいだで揺れる、ごく平凡な感情です。
フェティシズム、セックスレス、性の不一致、ごくふつうの人たちの不器用な誰にも言えない性の悩み、ひとりで抱えず和らげられますように!

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