セックスレス解消のきっかけは焦らなくていい。原因と小さな工夫

寝室のエアコンの設定温度で、今夜も小さくもめる。同じ部屋で眠っているのに、最後に肌が触れた日を、もう思い出せない。

セックスレス解消のきっかけって、ほかの夫婦は何だったの?

下着を替えた。香水も変えた。それでも反応のない夜が続くと、胸の内側がすうっと冷えていきますよね。

ひとつだけ、先に手渡しておきたい言葉があります。きっかけは、ドラマのような一夜とは限りません。熱を測るように額にふれる、食卓で短い話をする。そんな、色恋とは無縁に見える動作から空気が動いた家は、少なくないんです。焦って探し回る自分に、ダメ出ししなくて大丈夫。

解消した家、まだ途中の家、戻ってまた止まった家。名前の出てくる6人に、周囲の夫婦の話も加えました。

この先に並べたのは、次の3つです。

・合図が見えなくても、落ちこみすぎずにいられる理由

・セックスレス解消のきっかけが来ない、4つの原因

・今日から置ける、さりげない合図の工夫

目次

セックスレス解消のきっかけを探す自分を、責めなくていい理由

答えを探し回るのは、この関係をまだ終わらせていない証拠です。見つからないのも、努力や魅力の不足が原因ではありません。そう言える話を、3つ挙げますね。

ひとつ目は、解消した本人でさえ、きっかけを一言で言えないこと。43歳のれいこさんは、何がきっかけ?と聞かれても、これと答えられない人。気づけば、あれ、別に嫌じゃないかも、に変わっていた気がする。夫の努力があったのは確か。それでも、一言にまとめようとすると指の間からこぼれていく。

15年拒む側だった妻も、突然解消したわけではない、と話します。小さなきっかけが、いくつか重なっただけ。桜のつぼみがいつ膨らみはじめたか、日付で言える人はいませんよね。

ふたつ目は、見た目を磨く努力が届かないのは、あなたの手落ちではないこと。38歳のみおさんは、美容もダイエットも、下着も香水も変えました。返ってきた反応は、ゼロ。

(ここまでしても、まだ振り向いてもらえないの…?)

努力が空を切った夜、みおさんは目の奥がつんとしたといいます。周波数の合わないラジオは、いくら音量を上げても相手に届かない。ずれていたのは努力の量ではなく、届け先のほうだったんです。

みっつ目は、戻りたいと思うのが、当たり前の気持ちだから。仲は悪くないし、会話もある。それなのに、夜の気配だけがない。いちばんこたえるのは、このちぐはぐさだという声もあります。同じ時間を、同じ温度で感じたい。望んでいるのは、たぶんそれだけでしょう?

だから、きっかけの遅れで、自分に赤点をつけなくていいんです。

セックスレス解消のきっかけが来ないのはなぜ?夜の手前にある4つの壁

空気が動かない家では、夜より手前のものが先に止まりがち。一緒に味わう時間、昼間の分担、誘い方の強さ、そして相手の体の事情。原因を見るのは、悪者探しのためじゃない。次の一歩を置く場所を見つけるためです。

一緒に味わいたい気持ちが、夜より先に消えている

おいしそうなお店を見つけても、夫を誘う気にならない。そんな自分に、ドキッとしたことは?

肌より先に、共有が消えると整理する人もいます。おいしいものを一緒に食べたい。映画を二人で観たい。同じ景色を、隣で眺めていたいな。この気持ちが薄れると、夜は片方が発散し、片方が待つだけの時間に。

欲があるうちは、それでも続く。結局、刺激が弱まった瞬間に、する理由が見当たらなくなるんです。一つの鍋を二人でつつく時間が消えれば、夜の火も弱まって当然でしょう。

昼間の偏りが、夜の扉を閉めている

家事も育児も、気づけばほぼ一人で回している毎日じゃありません?

34歳のかおりさんのママ友は、ワンオペの疲れで、したくない日々が続いた人。一度は、夫と正面からぶつかった時期も。子育てが落ち着いてからは、なんと週3回に!きっかけは夜の工夫ではなく、昼間の負担の偏りが動いたことでした。

二人乗り自転車で、ペダルをこぐのがいつも同じ人だったら?こいでいる人に、景色を眺める余力なんて残りませんよね。偏りが残ったままでは、新しい下着を用意しても届きにくい。一度もめても偏りが元に戻り、空白だけが続く家もあります。

頑張った誘いほど、奇襲に映ってしまう

決心して誘った夜に限って、相手の顔がこわばる…(泣)

ガツガツ来られるのは困る。でも、きっかけくらいは欲しい。そんな本音を、男性の側が口にすることも。正直言って、この程度の見極めがいちばん難しい。強すぎれば奇襲になり、弱すぎれば何も起きないから。

寝ている人の耳元で、いきなり目覚ましを鳴らしたら?目が開くより先に、体が身がまえてしまいますよね。

相手の体や事情が、動ける状態にない

何をしても反応が返ってこない年月が続く。そんなときは、相手の側に口にできない事情が隠れているのかも。隠されていた勃起の悩みのように、本人にもどうにもできない空白もあります。結婚前に、空白にならないよう体型を保とうと話し合っていた家もある。それでも、言えない事情が十年を持っていってしまった。

きっかけが働くのは、相手に受け取る余力があってこそ。その土台がなければ、どんなに優しい合図も素通りするだけ。責めるより先に、体の相談先へつなぐ道を考えたいところです。

【体験談】劇的じゃなかった再開。4つの家の、はじまりの合図

決定打と呼べる出来事は、どの家の話にも出てきません。あったのは、見過ごしそうなほど小さな合図だけ。

風邪の夜、額に置かれた手で泣いた妻

十数年、夫婦で触れ合うことのなかった家の話です。妻が風邪で寝こんだ夜、夫が大丈夫?と額に手を当てた。それだけで、妻の目から涙があふれました。

(触れてくれたの、何年ぶりだろう…)

夫の手は、熱を測っていただけ。誘いには見えなかったから、拒まれずに済んだんです。拒まれなかった一回が、次の接触への許可証になっていく。

二人がまず戻ったのは、寝室ではなく、手をつなぐところでした。安心できる接触を重ねて、ようやく欲も目を覚ます。川の飛び石を、一つずつ踏んで渡るように。

事務連絡だけの食卓に、短い話を戻したみおさん

みおさんの家は、仲がいいのに夜だけが抜け落ちていました。嫌われてはいない。家族としては、ごく普通。なのに、求められない。

流れが変わったのは、努力を上乗せした日とは別の日。夜より先に、昼間の会話を見直したのが始まり。

食卓に残っていたのは、用件の確認ばかり。そこへ、今日あった短い話を、少しずつ戻していったんです。戻したのは、夜とは無関係の話題。一緒に面白がりたい、が先に戻ると、触れたいが後からついてくる家もある。

彼女の家は、ついてきた側でした。なぜついてきたのか、本人にも一言では言えない。その言えなさが、きっかけの正体に近いのかも。

6年ぶりの夜の、翌朝に驚いたななさん

41歳のななさんの家に空白が生まれたのは、妊活と出産のあと。拒む側に立ったのは、夫。触れ合いまで消え、近づいてはかわされる、その繰り返し。よその夫婦が笑い合う姿が、いちばん目にしみた。

(もう、この人とは戻れないんだろうな)

転機は、この先の人生を夫とどう生きたいか、考え直した夜。まだ触れてもいないその夜に、二人の向きが変わりました。

そして迎えた、久しぶりの夜。正直、ぎこちなかった。照れくささで、胸の奥がぽっと熱くなる。

意外だったのは、翌日のほうです。朝から体が軽い。洗濯物を、いつもよりていねいに畳んでいる自分がいる。夕食のおかずが一品増え、お疲れ様のひと言にも気持ちがこもる。夫まで妙に機嫌がよくて、まさか、ちょっと格好よく見えるなんて(笑)

夫婦の潤滑油という言い回しが、その朝ようやく腑に落ちたそう。6年の空白が、帳消しになるわけもない。それでも、次の週へ進む理由にはなりました。

夫の評価が、一部だけ塗り替わったひろこさん

40歳のひろこさんは、夫に拒まれたことが引き金で、悩みを人に打ち明けはじめた人。家事もこなす、申し分のない夫。なのに夜のその一点だけで、数年間、最低の夫だと本気で思っていました。

ほかは文句なしなのに、なんでそこだけ…

紆余曲折を経て空白が明けると、のろけたくなる場面がぽつぽつ見つかりはじめる。夫への見方が、少しずつ書き換わっていく。明るい変化のはずなのに、どこか足がすくむ。書き換えてしまったら、あの数年を何と呼べばいいのか、わからなくなるから。そのわからなさも、きっかけの一部だったのでしょう。

これからどうすればいい?セックスレス解消へ、小さな合図を重ねる

目指すのは、一発逆転の夜をつくることではありません。拒まれにくい合図を、暮らしの中に少しずつ置いていくことです。

まずは、焦る自分をそのまま認める

早くしないと、このまま一生…?

焦るのは、それだけ本気だから。ただ、性の外で考えたことが家の中に帰ってくるまでには、時間がかかります。その時間を、きっかけが来ない、と受け取ってしまうと、また誘わなくなる。誘わなくなって数年目に、ふいに訪れるのが、風邪の夜の額だったりするんです。

植えた球根は、芽が出るまで土の上に何も見せません。見えない時間も、育っている時間に数えていい!

性の話に見えない、明日からの小さな合図

食卓の会話が用件ばかりの日は、その日に目にした小さな出来事を、ひとつ添えてみる。帰り道の空の色でも、職場で耳にした笑い話でもいい。性とは縁のない一言が、二人で笑う回路を温め直します。

触れるきっかけがつかめないときは、誘いとは受け取られにくい触れ方で始めてみて。肩のほこりを払う、冷えた手を包む、具合の悪そうな日に額へ手を当てる。小さな一回が積み重なるほど、次の一回のハードルは下がっていきます。

昼間の負担が片方に寄っているときは、寝室の話はあと回しにして、まず分担の話を。寝る前ではなく、休日の昼のような、気持ちに余裕のある時間を選んで。

誘い方に迷うときは、奇襲ではなく、きっかけ程度の合図を置いてみる。二人分の湯のみを出して、隣の席を空けておくだけでも十分です。

夜を議題にする前に、夫婦のこれからを話してみるのも手。ななさんたち夫婦が動いたのも、将来を考え直したところからでした。

相手が、どうしていいかわからない、とこぼしたら、否定せずに受け取って。結論の出た夜というより、迷いが言葉になった夜だと考えてみてください。36歳のさやかさんも、夫のその一言を聞けた夜に、3年分の霧がうすれた人。言葉になれば、次にどこへ手をのばせばいいかが見えてきます。

どの合図も、相手が乗り気でなければ、すっと引っこめる。断った側が、翌朝の気まずさで仕返しされない。そう信じられる空気の中でこそ、合図は相手に届きます。

答えを追い続ける粘りを、長所として使う

あきらめの悪さも、使い道しだいで関係を動かす力になります。

短所に見えるところ裏返すと活かせる場面
何年たっても答えを追いかけてしまう関係を投げ出さない粘り強さ目立たない合図を続けて置ける
努力が空回りすると落ちこむ相手を喜ばせたい思いが強い昼間の一言や気づかいに力を向けられる
相手の反応を細かく気にする変化に早く気づける受け入れられやすい触れ方を見つけられる
劇的な変化を期待してしまう理想をはっきり持っている二人の将来像を言葉にできる

粘りも落ちこみも、向ける先を選べば頼れる道具に変わります。

セックスレス解消のきっかけについて、よくある質問

Q.一度解消しても、また戻ってしまうことはある?

戻ることは、あります。妊活をきっかけに復活し、すぐまた空白に戻った家もありました。その家では、一度なおれば終わりではなかった、と振り返っています。同じものをおいしいと言い合える時間を、日々の中に残しておくことが支えになります。

Q.下着や香水を変えるのは、意味がない?

無駄ではないものの、それだけで動く家は多くありません。拒む理由が外見以外にあると、どれほど整えても空振りしやすいもの。まずは日中のやりとりや分担を見直すと、あとから効いてくることもあります。

Q.自分からきっかけを作るのは、はしたない?

はしたないなんて、とんでもない。いきなり夜に誘うより、誘いと気づかれない合図からのほうが受け取られやすいはず。相手が断ったときに引ける余白を残しておくと、次の合図も置きやすくなります。

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この記事を書いた人

パートナーに打ち明けられない嗜好、十年続いたセックスレス、自分でも名前のつけられない欲望。
ひとつひとつのケースは特殊に見えて、その奥にあるのは「知られたい」と「嫌われたくない」のあいだで揺れる、ごく平凡な感情です。
フェティシズム、セックスレス、性の不一致、ごくふつうの人たちの不器用な誰にも言えない性の悩み、ひとりで抱えず和らげられますように!

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