体勢を変えたとたん、届きかけていた波がすっと引いていく。
これって性癖?それとも、私の体がどこか変なの?
気分が高まったとき、脚に力を入れてまっすぐ伸ばしてしまうクセ。いわゆる足ピンです。脚を伸ばせる形に戻したら、まさかと思うほどあっさり届く。そのたびに、自分の体への信用が一枚ずつはがれていく(泣)
逆に、恋人の脚がまっすぐ伸びきる瞬間に見とれて、そんな自分にどきりとする人も。
足ピンでないと達しにくい体も、足ピンに惹かれる気持ちも、異常とは程遠い!体が覚えたクセが、少し濃いめに表へ出ているにすぎません。
堂々としていられるのは、好みとクセの範囲まで。相手の体を意のままに動かすことまでは、含みません。
脚が伸びる側、それを見つめる側、相談を受ける側。立場の違う6人の話をたどりながら、力みの正体をほどいてみます。
足ピンの性癖は、壊れた体のしるしじゃない
脚を張らないと届かない。それは体の不具合ではなく、覚えこんだ道すじを通っている合図です。理由は、3つにまとまる。
ひとつ目は、同じ悩みを抱える人が意外と多いこと。36歳のけんさんは、足ピンじゃないと達せない、という相談を持ちこまれやすい人。届かない夜が重なるほど、打ち明ける側は自己否定へ傾きやすい。
そんな相手に、けんさんはこう返します。おかしいんじゃない。体が学習したクセが、強めに出ているだけだよ、と。
ふたつ目は、足ピンがひとつの決まった形ではないこと。ベッドを足の裏で押している人。内ももをぎゅっと固める人もいれば、お腹にまで力が入る人も。つま先までぴんと伸ばしきるタイプだって。立て膝のままで踏ん張る人もいるほど。
朝の伸びひとつとっても、腕から伸ばす人、背中を反らす人とさまざまでしょう?注目したいのは、脚の角度より、気持ちよくなったときに体が何をしているか。
みっつ目は、胸が高鳴ることと、手を動かすことは別物だから。恋人の脚が張る一瞬に目を奪われても、それだけなら、気がねする理由はないはず。
ただ、ここで線を一本だけ引かせてください。相手の脚を押さえて、形を変えさせる。伸ばさせること自体がゴールになる。そして、足がつっても止めないこと。この3つは、好みという言葉では包めません。
足ピンが性癖みたいに抜けないのは、なぜ?体に残る4つの原因
脚が伸びたがる理由は、たいてい複数あります。力の入り方の個人差、繰り返しの学習、相手の好み、目安の思いこみ。いくつもの糸が絡み合うようにして、クセは少しずつ根を張るのでしょう。
原因探しは、犯人探しとは違う。自分の体の事情を知るための作業です。
力の集まる場所は、もともと人によって違う
脚はまっすぐじゃないのに、気づけばかかとでシーツを押していた。身に覚えは?
緊張すると肩が上がる人、奥歯を噛みしめる人。高ぶったときに力がどこへ向かうかも、十人十色です。同じペンを握っても、筆圧は人によってまるで違うでしょう?
脚に力が流れやすい体だと、それが足ピンとして表に出やすいだけ。人柄とは無縁の話です。
繰り返すうちに、体がいつもの道を覚える
脚を踏ん張れない姿勢になったとたん、あと一歩が遠のく。心当たりは?
けんさんのところへ来る相談も、たいていこの形。ひとりでは達せる。なのに、足に力を入れられない体勢だと難しい。
気持ちよさにたどり着くたび、体は力の入れ方ごと記憶していく。草むらの同じ場所を何度も踏めば、けもの道ができる。道が踏み固められるほど、ほかのルートは草に埋もれていく。壊れているどころか、覚えがよすぎる体なんです!
相手の好みが、クセを太らせることもある
伸びた脚をほめられた夜から、その体勢ばかりになった。思い当たりますか?
性癖をひとつ明かすなら、足ピン。そう断言したのは、29歳の人でした。惹かれるのは、伸びた脚と反った姿、そしてこぼれる声。見る側の好みとしては、何も不思議はない。
要注意なのは、その姿見たさに、伸ばさせる体勢ばかり選び続けるとき。好きな一曲ばかりリピートしていると、別の曲でそわそわしてくる。体も同じで、選ばれた回数だけクセが強まる。やがて相手は、ひとりのときでさえ、伸ばさないと最後まで行けなくなることも。
それを開発と呼んで喜ぶ口もあります。結局、翌日起き上がるたびに、重たいふくらはぎと格闘するのは相手の側。画面の中の形は、翌朝の脚までは映してくれません。
伸びた脚が欲しい側と、伸ばさずに終わりたい側。同じ夜に二つの願いが並ぶと、クセをゆるめる歩みはどうしても遅れます。
伸びたら達した、という目安のひとり歩き
膝が曲がったままの夜、ちゃんと達した?と聞かれて、答えに困ったことは?
脚が突っ張るのは、達したしるしのひとつに数えられることも。でも、それはあくまで目安。
目安を必須にしてしまうと、伸びない夜は、まだ達していない扱いに。判定された側は、そのうち脚を伸ばしてみせはじめる。見せるための足ピンです。
カメラを向けられると、楽しくなくてもピースしてしまう。あの反射に近いもの。形は整っていても、本人の中の熱はどこか薄い。しかもその形をほめられると、次の夜もまた作ってしまう。
【体験談】伸ばす側の3人と、見とれる側の1人
正直言って、4人とも着地はまだ先。とはいえ、脚の力みとどう暮らすか、その分かれ道は見えてくる。
分類の正解が気になった、24歳の人
達するとき、太ももやふくらはぎの裏まで伸ばすと、いっそう気持ちいい。そんな24歳の人の頭に、ひとつの問いが居座っていた。
(これって、足ピンに入るのかな…)
名前が先に立つと、自分の体感より、分類の正解探しが忙しくなります。道ばたの花の名前を図鑑で探すうちに、香りをかぐのを忘れてしまうように。
分類を気にする夜が重なると、それらしい形を作りはじめる人も。見ている側には本物に映っても、本人には演技に近い。
この人の体は、伸ばすと気持ちいい、という答えをとっくに出している。名前が追いつくのは、そのあとで十分。
最中に足をつって、顔が素に戻った人
気持ちよすぎて、足ピンで達するクセがついた人の夜です。高まりのさなか、突然、足がつった。
とろけていた顔が、ブレーカーが落ちたみたいに一瞬で素に戻る。足を押さえる本人。隣の相手は、差し出す手の行き場がわからない。
(え、え、何をすれば…?)
わからない、は正直な反応です。困るのは、わからないまま、まだいけるよね、と続けてしまうとき。続けた先に残るのは満足ではなく、翌朝の歩きにくさだけ。足がつった時点で、その夜はいったん幕を下ろしていい。
押さえられて、いつもの感覚が消えた人
開いた姿勢では届かず、伸ばせば届く。そんな体の覚えを持つ人の話です。
その覚えを知る相手が、脚を開いた形のまま押さえてきた夜のこと。体が覚えるまで、と相手は続ける。けれど、慣れた感覚は一向にやって来ない。
相手の関心は、本人の気持ちよさそのものから、達し方の条件へずれていた。助手席の人が、いきなりハンドルをつかむようなもの。握られた側は、進む向きを自分で決められません。
主導権を削られた体の行き先は、二つにひとつ。開いたままでは届かなくなるか、伸ばすことだけが頼みの綱になるか。どちらに転んでも、道は細る一方です。
深まっていく声が好きな、まさとさん
34歳のまさとさんの好みは、足ピンのクセがある相手。体勢によっては、穏やかな心地よさで落ち着く夜もある。別の体勢で相手の脚が伸びると、反応がぐっと深まり、声が途切れなくなる。
(この声が好きなんだよな…)
惹かれる心そのものに、非は見当たらない。問われるのは、その先。伸びない夜の声も、同じ熱で好きでいられるか。答えを出すのは、これからの本人です。
足ピンの性癖を残したまま、上書きで選択肢を増やすには
目標は、足ピンをなくすことではない。けんさん流に言えば、力を入れないと無理、を少しずつ上書きしていく作業。新しく書きこむのは、ゆるめても気持ちいい、のほう。見つめる側なら、伸びない夜まで味わえる目を育てるのがゴールです。
まずは、脚が張りつめる自分にうなずく
伸びる脚は、あなたの体がこれまで気持ちよさを探し歩いてきた足あと。消しゴムの出番はない。
(はぁ…こんなクセ、マジでなければよかったのに)
そう思う夜があってもいい。あの時届かなかった夜を、失敗の欄に書き足さなくていい。
見つめる側のあなたも、惹かれる心はしまいこまなくて平気。ただ、相手の脚を思いどおりの形にしたい衝動が強い。断られても、手がなかなか離れない。その傾向を自覚したら、動く前に心療内科やカウンセリングへ。
今夜からの、上書きの小さな練習
力を入れにくい体勢で届かない夜は、届かせることをいったん手放す。ゆるめたままの心地よさを、ただ味わう時間にしてみる。利き手と逆の手で箸を持つのと同じで、最初は豆ひとつつかめなくて当然(笑)
力がどこに集まるかも、ときどき観察してみて。場所がわかれば、そこだけ少しゆるめる実験ができます。
二人で過ごす前に、一回だけ確かめておく。伸ばさなくても終わっていい?と。見つめる側から聞いても、伸ばす側が口にしても、どちらでもいい。この問いを交わせた二人のほうが、関係は長持ちします。
足がつった瞬間に、中断。まだいける、は禁句です!つった場所をゆっくり伸ばし、痛みが引くまで待つ。迷ったら、どうしてほしい?と聞くだけでいい。
翌日が立ち仕事の日、ヒールで出かける日、子どもの送り迎えで坂を歩く日。そんな前夜は、脚を伸ばしっぱなしの体勢を短めに。張ったふくらはぎを、ゆうべのおみやげ扱いしないで。
つま先に力をこめる人は、足の爪を短めに。シーツも相手の肌も、引っかかずに済みます。
いつもと違う達し方を試したいなら、始める前に言葉で同意をもらう。相手がうなずかないなら、試さない。
やめて、痛い、の一言が出たら、理由を聞く前に止まる。ノーと言った人が、あとで仕返しの沈黙を浴びないこと。押さえて覚えさせるやり方を、練習の名前で呼ばないで。
力みやすい体と、見とれる目の活かし方
力みやすさも、見とれる癖も、使い道を選べば二人の支えに。
| 短所に見えるところ | 裏返すと | 活かせる場面 |
|---|---|---|
| 決まった姿勢でないと届きにくい | 自分の体の感覚をよく知っている | 心地いい体勢を、言葉で相手に伝えられる |
| 高まると全身に力が入る | 感覚にまっすぐ没頭できる | ゆるめる練習にも、同じ集中を注げる |
| 自分のクセに、名前をつけたくなる | 自分の体を理解したい気持ちが強い | 感じたことを、名前より先に言葉にできる |
| 相手の伸びた脚に見入ってしまう | 相手の変化によく気づく | つりそうな脚やこわばりに、早めに気づける |
足ピンで迷う人の、よくある質問
Q.脚が伸びなければ、達したことにならない?
脚の形ひとつで結論を出すのは、まだ早い。伸びるかどうかは、判断材料の一部でしかないからです。力みの場所が違うだけ、という夜だってある。確かめたいときは、形より本人の言葉を。
Q.足ピンでしか達せないままで、問題はない?
直すことをゴールに置かなくていい。二人の時間に届きにくくて苦しいなら、そこで上書きの出番です。力を抜いた状態で感じられる心地よさを、焦らず少しずつ増やせばいいんです。
Q.恋人の足ピンが好き。こんな自分はおかしい?
いいえ、変わり者の印とは違います。惹かれること自体は自由です。ただ、脚が伸びる体勢に偏り続けると、相手のクセを濃くする恐れも。伸びない夜も同じように楽しめるか、ときどき胸に手を当ててみるといいですよ。

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